12月7日~ 少しの間だけ
ずっと憧れていた お人形屋 さんになることができる。
人の形をしているから ”人形”なのだけれど、
それはもちろん、わかっているのだけれど、
”私のお人形”っていう 感覚。
わかるかしら。
そういうものが、わかる人にはわかるのだと信じているのだけど、
たとえば、美術的価値のある美しいお人形。
それはそれは美しいビスクで、ドレスもオリジナルで・・・
というお人形はもちろん、美しいのだけれども、
じゃあ、ある日、あげますよ、といわれたときに、
わーい☆ラッキー♪
といって、うきうき喜んで、ありがとう!なんていってあっさりもらえるものでは、
私にとってはないのである。
金髪・碧眼・縦ロール、
ロマンチックなレースの飾りをふんだんに、麗しく輝くビスクドール。
お人形屋に憧れている、というくせに、
私が惹かれるお人形というものは、概してそうではなくて、
もっと個人的で、もっと引き裂かれるように、
私にしか、わからないのではないの、この子の愛らしさは、
と思わずにはいられないような錯覚を起こしてくれる、
そんな不思議な魅力を持つ存在。
そんなことを、ぶつくさといつまでも、かれこれ実は十年以上、
言い続けて、いつのまにか、どこか遠くに来てしまっていたのだけれど、
でも、心の奥では、今も、まだその思いは変わらない。
「愛しいものは悲しい。
いつか消えゆくものたちのために、ひととき。
幻のように開かれる人形店」
影山多栄子さんの考えてくださった、人形店のための文章。
とても楽しみな12月の乙女屋です。