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至極の美の個展から

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「ああ、そう、思い出した。


本当の恍惚のためには

痛みがともなわなければならない。」


*

山本じん氏の個展に行きました。

以前から、雑誌の記事や、ポストカードなどで、
作品を拝見して、いいなぁ。。。。。と思っていたので
個展を見に行くことができるのは初めてで
とても楽しみでした。


個展会場は、広々としたシャープな空間です。
3つのお部屋に分かれていて、
吹き抜けのメインフロアと、カフェ併設の小さなギャラリー、
映画作品のお部屋になっています。

メインフロアには大作がたくさん並んでいました。
小さな美術館みたいなギャラリーに
言葉を失うほどに美しい作品たちが並んでいて、
いや、今、書いていて思ったのだけど、
たぶん、あのギャラリーが、小さな美術館みたいに見えたのは、
きっと、山本氏の作品が見せた高貴さのせいかもしれない、
なんて思うほどに、作品の放つ世界の凄み!


今までも二次出版物と小さなオブジェは見たことがありました。
それで、山本じん氏のことを知っているつもりでいました。

が、それが、なんと愚かな認識であったのか、と
ものすごい衝撃を受けました。


初めてルーブル美術館にいったとき、
印刷物でおなじみだった絵画を本当にみたとき、
やっぱりホンモノは違うんだ!
と思いました。
それは、印刷でうつる、うつらないではないのです。
絵自身がもつ強さ、凄み、そして、何かを放つ力!
それが、もう、圧倒的に違う。


プロの文筆家が何万語の言葉を費やしても
本当のことは伝わらないように、
大事なことこそ、何かを通してしまえば写らない、
伝わらない繊細さがあるのです。
山本氏の作品は、その種の、生の作品でしか伝えることの出来ない
繊細すぎるまでの魅力と感性を秘めた作品なのです。


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好きな世界観だとか、
自分の中に通じるものを具現化してくれているから、
というのは、作品を見るときの醍醐味ですが、
山本氏の作品世界は、そんなレベルで図れるものではない。


でも、そうだ。
印刷で伝わってしまうものなら、
印刷で十分。

そうじゃないから、
だからこそ、大枚をはたいてでも、その作品がほしくなるのだから!


表面をこするようにして、傷つけることで描く銀筆画の繊細さ
漆黒の闇が心地よく、細密なのに静謐な鉛筆画

それらでもまだ完成しきれないものを
そして、氏にとってさえ曖昧なのではないかと思われる
もっともっと奥底の魂を
具現化するためのような、オブジェや人形作品。


作品のどれもこれもが、ひとつひとつに奥深く、
何度見ても、様々な想いがめぐりめぐる。
こんなにも美しいモノたちを
なぜ、私は今まで知らなかったのか、
そして、なぜ、いつまでも見ていられないのか

3時間ほど居ても、まだ去りたくなくて
文章を書いている今も、美しいあの作品たちが
あの会場で放っている世界について、思いを馳せることをやめられません。




あまりにも美しすぎるものを前にすると、
不思議とリアルな、情けない自分を自覚します。
だけど、そのことによって、自分の目指す道筋と
やるべきこと、成し遂げたい想いも自覚することができ
生きていこう、と思います。


今の私では、まだそこにたどり着くにはあまりに遠くて、
その過程で、様々な痛みを伴うこともわかっています。


でも、そこに行かずして、どこに行くというのでしょう。


それに、もう、繰り返し、
何度自分に言い聞かせたことかわからないけれど、
カンタンに手に入るもの、
カンタンに成し遂げてしまえることなど
何の意味があるのでしょう。


痛みを伴ってまでも得たいもの。


それこそが本当に自分にとって一番必要なものであり、
自分にとって一番必要なものこそが
世界で一番、美しいものだと、信じています。


*

長々となってしまいましたが、
山本じん氏のすばらしい作品たちがまとまってみることが出来る
この貴重な個展、本当におすすめです。

これほどまでのクオリティ高い展覧会はめったにありません。
遠方からでも行ったほうがいいです!



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*山本 じん 氏のアトリエ一部*
季刊 手の間に掲載されている山本氏のページ。

雑誌ではもっと美しい全体の様子や山本氏のほかの作品をご覧いただけます。

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◆個展 『Passion』 開催のお知らせ

岡山県岡山市のギャラリー、アートガーデンにて、個展を開催します。

1996年より2008年までの鉛筆画、銀筆画、人形、油絵、エッチング、木彫作品、
更に最新作絵画(未発表)など約40作品を出品する、集大成的個展となります。

山本じん展『Passion』
2008年10月23日(木)-11月8日(土)
岡山・アートガーデン
岡山市富町1-8-6 Tel&Fax 086-254-5559
営業時間: 11:00-18:00(最終日は午後3:00)
定休日: 火曜日

*山本じん氏 オフィシャルサイト
http://www.geocities.jp/phoenix_treasure/
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by otomeya | 2008-10-30 14:29 | 山本じん