お花屋さん

「お花屋さん」は、憧れのお仕事です。


けれども、私には絶対に無理だなぁと思うのは、
早起きが苦手なのと、どうにも「植物を育てる」ということが、私には難しいみたいなのと、
昔のとあるご本の、とあるエピソードがとても好きだから。


以前、このブログでも、そのお話を書いたことがあるけれど、
そのころの文章を見ると、
まあよくも、世の中のことをわかったようなつもりで偉そうに書いているなと、
自分であきれてしまって嫌になる。

でも、それも私が辿ってきたことだから、消さないでおいておこうと思うのだけど、
いまから、そのページを見ていただくのはちょっと恥ずかしいので、
そのお花屋さんに関するところだけを、少し、再び、ココに引用します。



「とある人形作家が、オランダに遊学していたときのお花屋さんの話を思い出す

ブーケだけを売るそのお店のマダムは40才をすぎている。
いつもほとんど黒ずくめの装いで、黒いビニールのエプロンをかけ、
ニコリともしないで、客をさばく。

ときに、あの花とこの花で...などと言ったりしたら、
たちどころに睨み返されてしまう。
すべてお任せにしないといけない。

白いチューリップ、百合、ライラック、紫陽花、ストック...。
ウインドーからは白い花だけしか見えないような飾りつけ。
黒い日よけのしたで、それは息をのむほどに美しい。
日よけしたのウインドーの趣向は、ほとんど毎週、その花の色が変わる。
ときには青い花だけだったり、淡いピンクの花花の日もある。
そして同系色の花花のマッスのかげに、取り合わせ用の、いろいろな色の花が、用意されている。
あの白いチューリップを沢山入れて欲しいと思っても、
絶対の自信を持つマダムのために、ただ黙って、その鮮やかな手さばきの、
手元を眺めているだけである。

そのかわり、花束のできあがりは素晴らしい。
花束というのは、普通、丈が50センチにもなったりすると、いかにもぎょうぎょうしくて、
やりきれないものだけれど、そのマダムの組んだ花束は、
とても上品で、控え目で、さわやかなはなやぎのようなものさえある。

その花束の重みは、一瞬、不思議ななつかしい夢を見た気にもさせるほど。

リボンを結ぶなどは、もっての外で、花束はこれ以上何も付け足せない程に
完成しているという。

しかし、その花束の完成度はそれだけではないという。
部屋の棚の花器の中で、マダムの花束は少しずつはなやぎを増し、
蕾だった花がどれも開ききったあと、やがて少しずつ花は、つややかさを失くし、
やがてしおれてしまう。その、はじまりから、おしまいまで、美しさを保たせるというのだ。



そのときの瞬間も大切だが、その花たちがどう枯れてゆくかを感じて、
「時間が動くことにゆとり(間)をもつ」からこそ、最初から最後まで美しいのではないかと、
勝手に想像する。

最初が完璧に美しかったとしても、その何かが狂ったことで壊れてしまう美は、
それまでなのか、と思う

脆く繊細なものも惹かれるが、すべてを受け止め、枯れて汚れても、
尚美しいものはもっと好きだ。」



と、ずいぶん、以前に、私がざっと、かつてみたエピソードをまとめて、
ついでに少し、自分の思いを書いた文章です。


そして、その少しあとに、続きのお話を書きました。


「先日、とある人形作家さんのオランダの花屋さんのマダムのブーケの話を書きました。

実は、その話には、もうすこし続きがありました。

人形作りもまだヒマな彼は、気まぐれに、そのマダムに花束の作りたいと申込ました。
彼女は、自分の手をかざして、
こんな手になるけど、いい?と片目をつぶって見せた。

きずだらけ。
爪はギザギザで、それは仕事をするひとの厳しい手だった。
とても、人形作りの片手間にやる仕事ではなさそうに見えて、断念したていう。

マダムは若い頃にロンドンで花束の勉強をして、このアムステルダムに店を持ち、
今の人気を得るまでには、相手が花だとは思えない、苦い時間をきっと持ったに違いない。

花はいつも、だれにでも、優しいだけのものではないらしい。


なにかを極め、本当のものを習得するためには、センスや運だけではダメなんだと思った。

それで、成功したように見える人もいるけど、
成功した=本当に究極をつかんだひと
では、ないんだと思う。


私は、辛いことがあったら、このマダムのギザギザの爪を思い浮かべます。

心がギザギザになったとしても、貫きたいものがあるのなら、その思いを大切にしたい。

そしたらきっと、いつの日か、最初から最後まで美しい、
私にしか作れない、とびきり素敵な何かを、実現することができる気がしています。」



2011年11月1日 乙女屋SALONをもって4周年のこの日からの1週間

アニバーサリーイベントのテーマは<ブーケ>(花束) をテーマに、イベントを開催します。


・・・いちばん大好きなお花屋さん 「コトリ花店」さんから、 フレッシュブーケの出張販売が実現します・・・



ぜひ、生のお花の力強さと、それを届けてくださる方の強い想いも感じながら、

それぞれの皆様の美しい時間に、添えていただけると幸いです。
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by otomeya | 2011-10-21 22:43 | 日々の戯れ


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