美しいと思うこと。

私は子供の頃から、明るいだけ、楽しいだけのものを好きになれなかった。

中略

その感覚は、一種の官能性に繋がっていたように思える。
ただ辛いだけでもなく、もちろん甘くもない存在。
その複雑さ、割り切れなさ。
手の中からするりと抜けていなくなってしまうような、あいまいで、はかなげで、
がっちりと掴んでおくことのできないものを、どこまでも追いかけて行こうとするとき、
私の中で何かが疼くのだ。

中略

ただ美しいだけではない。
どこかに魔を感じさせる血の濃さを湛えていた。

人を拒絶するような誇り高さ。

ほんの少し扱いを乱暴にしただけでアッっという間に壊れてしまう。
優しく手の中で慈しんでやらなければ私のそばにはいてくれない。
大切にしたいという思いと、いつかは壊れ、ここから消え去ってしまうのではないか
という恐怖感の両方に支配される。

自分の持ち物に、そんなに気を使わなくてはならないなんて愚かしいことではないかとも思う。

でもだからこそ、愛しさも増す。

なぜこのような物ばかりが好きなのだろうと私は下唇を噛む。
それは、私自身の内面を象徴するものだった
                            (「かわいらしさの匂い」新潮社光野桃著)

先日、ふらふらと書店を放浪していて、ふとであった本の中の文章です。
どうして、古い布やレースに、こんなにも惹かれるのだろう・・・・。
ふと、冷静になって自分を振り返ることがあります。
今にも破れてしまいそうな古びたハンカチや、ムラのできた別珍のりぼん・・・。
くたくたになったお花のコサージュ・・・。
めったにこれないお店だからって・・・・気がつけば手元に持っている大枚を、何枚も手放す。

こんなにお金出すなら、ブランドのあの、アクセサリーだって買えるのに。

そう思っても、ブランドのアクセサリーの前では、冷静にあきらめれても、
くたくたのぼろぼろなのに、1つしかなくて、
魔を感じさせられるのに、どこか優しいその布の前に、
私は冷静になることができない。

さっきの文章を見たときに、あ、そうかも。
と思いました。
逆らえないほどまでに、惹かれるのは、私の心の奥の何かに、
通じるものや、求める何かがあるからかもしれない。

あなたが、求めるものは、何ですか?
そんな話を、温かいお茶を飲みながら、ゆっくり語り合いたいものです。
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by otomeya | 2005-12-15 14:36 | 日々の戯れ


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