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花の記憶

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今年の夏にやってきた薔薇たちが、秋の花を咲かせる毎日。
同じ株なのに、色がこんなに違うのですね。
小さな発見の日々。

お店に着くと、薔薇の苗たちが迎えてくれます。
蕾がたくさんなのに、なかなか開いてくれない思わせぶりな苗。
今日こそ笑ってくれるかな、と毎日が楽しみです。

お店を始めた8年前、毎日お店を開けていました。
本当~~に人が来なかったので、お店を知ってもらうために、
イベントに出たり、百貨店に出たりしました。
そのための打合せや仕入れが増えて、
なかなかお店を開けられなくなって、でもあの頃、それしか思いつかなかった。

好きな時に好きな場所へいき、好きな人に会いに行き、
そこでまた新しい人に出会う。
知らなかったことを知り、次の目標を見つける。
それが自由だと勘違いして、自分の気持ちに問いかけることなく、
過ごすような日々になったのは、いつからだったんだろう。

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せっかくあるこの乙女屋の空間を、美しく飾って、できるだけ毎日いたいな。
同じことの繰り返しの中で、見えてくるもの、伝えられることがあるのではないの?
乙女屋を大事にする、ということを、もう一度考え直したいと思ったとき、
薔薇たちはやってきました。

薔薇を摘んで、店内に活ける。
飾る場所は、大通りから見える窓の傍。
通りゆく人が、少しでも季節を感じてもらえるようなディスプレイができたらいいなと、
工夫するのが楽しい。
それは、私自身が路面の硝子越しのディスプレイが好きだからだと思う。

何気なく歩いていて、窓がある。
外から見える窓際の空間が気になって、中をのぞき込む。
営業していない薄暗い店内を硝子越しに眺める。
その奥には、見たこともないようなお人形や絵が並んでいたら・・・・。

そういう出会いを生み出すことのできるお店になれたらいいなと思います。
ネットの普及で、いまは大体のお客様が調べて、わざわざ来てくれますが、
それでも、あれ?この店は何だろう?ってふと見つけてもらえるような佇まいでありたい。
ネットで見てきてくださったお客様は、本当はどう思っているのでしょうね。
期待を裏切らない空間づくりを・・・頑張らなくちゃいけませんね。

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(かわい金魚 作品)

店内に摘み取った薔薇たちは、日々、静かに枯れていきます。
枯れてゆく経過とともに、香りは強く、甘く変化するものが多いような気がします。

薔薇を育て、飾り、枯れていく様をお人形とともに見届ける毎日。
今日は、どんな発見があるでしょう?

楽しみです。

乙女屋自身も、薔薇の香りのように深みを増すことができますように。















by otomeya | 2015-10-03 10:48 | 花の記憶


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