美しい女

とある病院で、ご主人と思われる男性が乗る車椅子を引く、年配の女性とすれ違った。

取り立てて珍しい光景ではないのだけど、そのご年配の女性の美しさに一瞬で心が奪われた。

華美ではないのに、上品で美しい服装、整えられたヘアスタイル、皴が刻まれているが穏やかなお顔立ちには、きゅっと赤い口紅が差されている。
男性に、囁くように、耳元へ何度も話しかけながら、歩いているのだけれど、あまり慣れていないように見える様子だった。

家族の方がそういう状態のときには、周囲の人にもさまざまな負担がかかるだろうな、
彼女も大変なのだろうと推測されたのだけれど、

そんな時でも、赤い口紅を差し、弱みを見せないその女性に、女の本来の美しさを見たような想いがした。

もし、自分が男性だったら、自分の連れ合いが、こんな女だったら、なんと誇らしいだろう!

あなたこそ、女の鏡!と、拍手を送りたくなりました。




そのことを思い出したのは、とある今日のやりとりがきっかけでした。


いつも、たくさんの可愛らしいリボンをぬいぐるみのための求めてくださる方に、
その方に似合いそうなベルベットリボンをおすすめしてみたのです。

すると、彼女から、返答がきました。

「みほさん!私、しばらくのあいだ、自分にリボンを付けるのを忘れていました。
ぜひ、このリボン、いただきます」

と。

ここ数か月、自分のことを構う余裕がないくらい、周囲の人の為に尽くされていた方でした。

その方からの、この一言。
とてもとても、嬉しくて。
そう、がんばる彼女にこそ、リボンくらい、きゅっと自分の為に結んでいてほしい!


私自身も、少し余裕がないと、自分に構えなくなってしまうので、よくわかる。
そのほんのすこしのことに構うことが、できなくなるのが当然なのだと。

でも、ほんのその少しのことで、少し、なにかも変わるのではないかしら?

華美なヘアアクセサリーでしたら、服装やメイク・・・なども、それに相応しく、となると、訪れる場所によっては、難しい。

でも、ベルベットリボンを髪に、髪が無理ならトートバッグに、くるりと数秒で結ぶくらい、大体の場所で許されると思います。

彼女の言葉も素敵ですよね、「自分にリボンを付けるのを忘れていました!」って。
そして、そのことを、私は大変だから、という言い訳じゃなくて、着けます!って受け入れてくれたことが、もっと嬉しかった。
今でも十分に素敵な人だけど、リボンを結んだ彼女は、もっときっと、強く優しく、美しくなるだろう。

世の中に、いい女が増えること、それは、世界が少し、美しくなることだと思う。



長いベルベットリボンをきゅっと結わえて、
自分に似合う口紅をサッと差して、
さて、と、女にスイッチを入れる、



なんて、いかがでしょうか?



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by otomeya | 2017-09-26 23:38 | 美しい女


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