人気ブログランキング |

2018年の新作に思う

e0037611_21571850.jpeg
吉田キミコさんが新作を出品されている現代童画会の展示に行きました。
現代童画会は、絵画の純粋さ、素朴さ、詩情などを改めて追求しようという美術団体です。童心を大切に扱うがゆえに様々な画風の作品が並びます。

e0037611_21585144.jpeg
キミコさんの最新作が展示されています。
イースターをテーマに描かれた新作です。
数種の鉛筆とさりげない他の画材での彩色で表現されています。
線の細さや書き込みに変化を感じました。
また、女の子の顔の雰囲気に大きな変化を感じます。
目と目で語り合うようなうさぎとの様子、反対から何かを囁いているように見える鳥。
この変化のすべてに、キミ子さんが次の舞台に立ったことを確信する。

キミコさんの作品には、いつも偽りがない。
作品を見れば、伝わってくる。
彼女の痛みと、不安、だけど、それに打ち勝つだけのものがいつもその奥にあることが。
私は、キミコさんの絵のそこが好きだった。
それは、踏み出す勇気がないくせに、諦めることもできない自分自身と重なっていたのだと思う。
誰かに悲しみを共有したいのではない。慰めて欲しいわけでもない。
守ってほしいわけでもない。
満足もしていない、だけど、踏みだすことも当時の私は出来なかった。
あの頃、常に劣等感と疎外感を、私は抱えて生きていた。

キミコさんの絵の少女に、踏み出せなかった頃の私は自分を勝手に重ねていたように思う。
どんな作家か、知らなかった。
でも、そんなこと以上に、絵に惹きつけられた。
こんなにも衝撃的な作品を、ほかに見たことがなかった。
その衝撃と自分の直感を信じたかった。
その後、私がその絵を手に入れるまで、10年ほどの月日がかかった。
その絵を手に入れることが出来てから、私は少しずつ、変わった。

私が変わったように、キミコさんの絵もどんどん変わった。
変わらない部分もあるけれど、偽りのない絵は、変わって当然だ。


今回の作品に話を戻します。
女の子は今回で、何かを受け入れられたように感じた。
「満たされたんだ」、という感じを受けた。
それは、満足したとは少し違う。
どこかを、なにかと、折り合いをつけ、納得した上で、ちゃんと向き合っている、
だからこそ、着実に現実を踏み出した気配があった。

それは、かつての踏み出せない私には、とても難しいことだった。
現実と向き合うには、自分自身のある部分が静かに満たされている必要がある。
当時の私は、何かがまったく欠乏していた。
何が欠乏しているのか、当時はまるでわからなかった。
満たされても、さまざまな荒波が来るのは変わりがない。
でも、荒波を超えていくのに、自分から目を逸らしたままだったり、他人ばかりに気を取られていたら、自分らしくなんてありえない。
今のあの子は、きっと強くなったと思う。
今まで、遠慮していたものを手放し、自分らしく進んでいく予感がする。
次の夢の話を、うさぎと目配せで、考えていると思う。
それが、まだ明確に言葉にならなくても、進んでいることに、間違いはない。

その夢は、楽なものとは限らない。
楽をしたい人とは、話ができない。
自分らしく生きること、好きなことを貫くことは、苦しみがあるから、喜びがある。
簡単じゃないから、自分だけのものだ。
簡単に手に入るものは、誰でも手に入れられる。
私たちが欲しいのは、誰でもたやすく手に入るものじゃない。

これからのキミコさんの絵は、どう変わるだろう?
キミコさんの絵を見続けること、感じ続けることで、私は、変わることができた。
これからも、ともに変わり続けると思う。
キミコさんは、過去を浄化させ、さらなる夢を見せてくれるだろう。

その始まりを感じる素晴らしい作品でした。

ぜひ、お運びくださいませ。

▪️吉田キミコ 作品展示情報▪️
現代童画会 春季展
2018.04.02mon. - 04.08.sun.
am11:00 - pm6:30(初日 pm1:00~/最終日 pm4:00まで)
場所:銀座アートホール
( 104-0061東京都中央区 銀座8丁目110番地
高速道路ビル(銀座コリドー街)tel:03-3571-5170





by otomeya | 2018-04-02 22:28 | 吉田キミコ


<< うさぎ館 「虚構メルヘン」 >>