「まだ私が金勘定の世界にいなかったころ、店をつくることで、人生をどんなふうに変えたかったのか思い出せる気がした」
「すべての雑貨」を再読していて、自分はどうだろうか?と問いたくなった。
というのも、明日は実店舗の11周年。
3周年から昨年までは、開店記念イベントをしていたので、前日となれば新作に囲まれて、賑やかな時間を過ごしていた。
今年はそれがないし、過去20年の在庫と私物フリマでの振り返りもあったから、開店する準備をしていた11年前のなんにもなかった自分について思い返すことが多い。
私は、どのように人生を変えたかっのだろう。
実は、自分の人生については考えていなかった。
唐突に今の物件を紹介してもらい、ここならいいんじゃないか、恩師の近くでもあるし、ということで準備期間は約1カ月だった。
いつか店舗を持つことができたら、と、空想しながら買い集めていた自宅で使っていた家具を持ち込み、好きだった薔薇柄の紅茶を仕入れた。
それまで、大事に大事に守られて、逃げて生きてきた人生だったから、いよいよ現実に一人で立ち向かうんだと思った。楽しい出会いは予想できず、簡単にうまくとも思わなかった。でも、好きなものを守るためなら、きっと私は強くなれる、と思った。
今は、思う。
強くある必要なんてない。
もう、無理はしなくていい。
他者も私も、素直に自由であればいい。
平和と調和が、まずは人と人との心から生まれ、空間、世界へと繋がればいい。