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喫茶店のマッチ箱から

部屋のお片付けをしていたら、喫茶店のオリジナルマッチがでてきた。

今はもうないお店のものだ。
人形好きの画家が描いたラベルがたまらなくかわいい。

やみくもに豪華絢爛な西洋文化的なものではない。
日本の良い文化を見て育った人の感性を通し、
その人が惹かれて見出した”愛らしさ”が描かれている。

そのマッチは、かれこれ20年前に、
とある喫茶店の2階で行われていた小さな蚤の市で見つけた。
年代物の家具に囲まれた部屋の中に、
古着、硝子の小瓶、少しだけ古い雑誌が、たくさん溢れていた。
けれど、私達の他にお客はおらず、
店員さんの存在もさだかではないほど、静かだった。

見る目もお金もなかった当時の私は、そのマッチだけを買い求めた。

こういうものを扱える乙女屋になりたいな、と思った。


十数年後に、このマッチに再会した。
そのとき、このマッチの持ち主とお仕事をさせてもらえるまでになっていたので、
マッチを仕入させてもらうことができた。

当店の来客数には、とても人気があった。

そう思えば、私は夢を叶えたのかもしれない。


夢は叶うと現実になるからだろうか。

大事に保管していたのに、ダメージを抱えてでてきたそれらを並べて、
当時のことを思い出し、その頃から今に繋がるいろんなことを思い出して、
そして、この想いを、文章に残しておこうと思った。

写真にも収めてみようと思う。


この夏が終わり、秋になったら、一つの大きな物語が終わる。

そのことを、
知っている人、
立ち合って物語を作ってくれる人は、
どれくらいいるのだろう。


物も、人も年をとりますね、と思う夏の午後です。











by otomeya | 2019-08-11 14:41 | 吉田キミコ


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