見えてきたもの

e0037611_13565794.jpg
(【大西けい】作品/撮影:otomeya )



「寒い部屋に二人でいるような
大正時代のセピアのような

そんなもの悲しくもあたたかい想い出に
さよならを告げて
そんな世界をゆめにしたい」

(奈良美智著「深い深い水たまり」より引用)



私が、乙女屋のことを思い始めたのは少なくとも約17年前です。

立ち上げの当初、私が思い描いていたのは、上記の文章の中にある、
もの悲しくも温かい想い出を、小さな空間でいいから、現実のものにしたかったのだ。

そうしたら、いつでも、
自分が守られていたころへ、戻れるような気がしていたのかもしれない。


ここ数か月で、感じ方がが大きく変化し続けている。

いつも、戻りたい、還りたい、思い出したい、という気持ちが強かったんだな、と自己分析する。

だって、ついこの間の8月には、大事なことを思い出したいと強く強く願っていたのだから。


夏が終わって何冊も本を読んだ。
その中のどこかに書いてあった次の文章に、自分が心の中でぼんやりと思っていたことを指摘された感じがした。


「少女時期に居続けるのではなくて、ちゃんと終わらせることで獲得しなければ、自分のものにならない」


ごちゃごちゃごちゃごちゃ、このブログに十年以上いろいろ書いてきたけれど、
いまになって、やっと終わらせて、そして獲得して、ちゃんと乙女屋を作っていきたいと思う。


それが、もうすぐ10周年で見えたことのひとつ。



今まで、本当にありがとう。




[PR]
# by otomeya | 2017-10-23 14:21 | 日々の戯れ

「花を持って歩く」

数年前の事。


とあるお花屋さんでちょっと贅沢なブーケを自分の為に作ってもらった。


「大阪まで帰るので、手提げにいれてもらえますか?」


と、お願いした。


すると、店主さんはおっしゃった。


「ブーケはね、抱えて帰るのが一番美しいんだ。

今日、着ているお洋服に似合うように作ってあるから、抱えて帰ってください。

その時間も、ブーケを買った人だけが感じられる貴重なものだよ」


って。



その日から、私は他店でも、自分のお花じゃないときにも、お花は袋にいれてもらわない。

乙女屋の「WABARA」の日にも、そうやって言えるようなブーケを作れるようになりたいです。


WABARAを抱えて、嬉しそうに微笑んだ女たちが、乙女屋からどんどんそれぞれの場所に足取り返っていく。


想像しただけで、幸せ!!!!





[PR]
# by otomeya | 2017-10-18 23:37 | 花の記憶

雨の日

雨の月曜日です。

ここ数日、すっかり寒いです。


今日は、関東から初めて来てくださった方がいました。

「知人が作品でお世話になっているので、前から来てみたいと思っていて」

とのこと。

いろいろお話していると、ヨイマチグサのこともご存じで、サロンドキキにも通われていたことがあるかたでした。

サロンドキキとは、ヨイマチグサで吉田キミコさんが企画されていた、クリエーターのための集まりのことです。

私は、存在は知っていましたが、その世界に触れることはできませんでした。

通っていた方々を知ってはいるのですが、なぜか、そこでの話題を聞いたことはほぼありません。
興味本位で聞くことさえ、憚られるような伝説の存在です。
ゆえに、謎のベールに包まれたままなのですが、存在だけをふっと時折思い出すのです。

画家としていろいろなお仕事をされているその方は、
「キキの空気は、吉田キミコさんだけのもつ特別な世界だった」、
とおっしゃいました。

その言葉だけで、なんだか一瞬にして、約20年も前のある瞬間が蘇りました。
それは、いまはもうないヨイマチグサで、サロンドキキについての小さな貼り紙を見つけたときのことです。
ヨイマチグサ自体が、特別な場所であったのに、さらにその奥の世界がある。
そんな秘密を見つけたかのような気持ちで見つめていたあのときの私。
だけど、そこは、誰でもが近寄ってよい場所ではない、と感じさせる何かがありました。
憧れの「サロンドキキ」は、私にとってそんな存在でした。



雨の日に訪れてくれた人と、そんなささやかな昔話をして、
全く関係のない、楽しいおしゃべりもいくつかして、
帰りにその人は、最後に言い残してくれました。

「途中で不安になりながら、この道を歩いてきて、角に扉と、中がちらりと見えた瞬間に、此処に間違いないってわかった。
だって、色が、ヨイマチグサにとてもよく似ていたから」

って。



今は、もうない、ヨイマチグサ。

ヨイマチグサを再現することなんて、誰にもできない。

だけど、いろんな人の心に、その人だけのヨイマチグサは今もちゃんと生きていて、
その中の一人でも、そんな風に乙女屋のことを称してくれた。

とてもとても嬉しくて、これから静かな雨の日は、
このことを思い出そうと思った。


”色がある店”を、目指したいですね。



雨音を聴きながら、夜に膝に猫をのせて、そんなことを思っています。








[PR]
# by otomeya | 2017-10-16 23:28 | 日々の戯れ

久しぶり

e0037611_00561634.jpg
【かわい金魚】さんの薔薇ブローチと【まな】さんのうさぎのブローチ。

お二人とも、作品数が多い方ではないので、紹介するのが久しぶりです。

今回、ご紹介したのは、ハンドメイドのアクセサリーなのですが、お二人ともしっかりとした世界観を持った作品作りもされています。

この二人の世界観というのは、ちょっと特別。

そして、私もそれぞれ、特別な場所で出会いました。

とても思い入れのある作家さんたちです。


見るもの全てが新鮮で、何も知らないがゆえに夢を見ることができたあの頃。

だけど、あの頃があったから、繋がってきた今のこと。

変わらないものはなにひとつないけれど、
美化されていくあの頃の記憶だけは、いつまでもどんな宝石よりも宝物。



もう忘れてしまったかな、

ううん、まだ好きよ。

そんな人が、思い出して、求めてくれるだろうか?


それとも、まるでなにもかも知らなくて、何の先入観なしに好きになってくれる人が見つけてくれるのかな。


その、どちらも嬉しいね。



誰かの宝物に、なれますように。


その出会いの場所が、乙女屋であるといいのにな。









[PR]
# by otomeya | 2017-10-11 01:04 | 日々の戯れ

日記


e0037611_23131443.jpg

WABARAの日を始めたら、「ますます何屋かわかんなくなるね」と言われました。
本当に、その通りです。
でも、本当は最初から、「何屋かわからないお店」がしたかったのだから、やっともとに戻ってこれたということかもしれない。


素敵なご縁があって、アンティークレースが届きました。
憧れていた方のセレクトは、予想以上のクオリティでした。

e0037611_23195449.jpg

e0037611_23215332.jpg
e0037611_23221443.jpg

e0037611_23222974.jpg


e0037611_23224700.jpg

どれもこれも、本当は実物のほうがもっと素敵。

本当に大切にしてくれる人に、お求めいただきたいです。

そのためには、私がちゃんとしなくちゃいけないんだ、と戒めて、丁寧に過去の失敗から学びを引き出そうとしています。

もう、同じ過ちはしないようにね、私!

















[PR]
# by otomeya | 2017-10-09 23:33 | 日々の戯れ

もう少しだけ

e0037611_23044972.jpg
そして、枯れ果てた、わたしの薔薇。


まだ、最後の言葉は、見つからないでいるのに。



e0037611_23053521.jpg
そっと、時を経てきたレースを並べてみる。

ねえ、もうすこしだけ、そばにいてくれないかな?


e0037611_23062490.jpg

だって、まだ、本当は、

ねえ、本当は、わかっているでしょう?



そんなことの、繰り返し。



.



□関連記事□
http://otomeyanet.exblog.jp/26089953/









[PR]
# by otomeya | 2017-10-09 23:08 | 花の記憶

愛しいもの

大好きで、
大好きで、大好きで。
大好きで、大好きで、愛しくて、愛しいから、涙が出た。


ただ、それだけで。

他のことは考えられなくて。

常識的なこと、
褒められるようなこと、すごいねっって言われること、
なにもかも捨てたかった、そんなこと、どうでもいいよって言いたかった。


普段、なにかと考えすぎたり、
他者の眼差しを伺ってしまう癖がついている私のつまらないところ、
すべて吹き飛ばしてくれるくらい、好きと思わせてくれる存在。


それだけを、集めたかった。

たとえ、小さな空間であったとしても、不純物なしに、それだけを集めて、
私のように不器用で、寂しいのに、寂しいっていえない、行き場のない人を、
そっと黙って包んであげられる暖かい灯りをともせる場所を作りたかった。

そこに、別に誰も来なくてもよかった。

だって、私の居場所だから。

もし、誰かが来ても、本当はなにもしゃべりたくなんてなかった。

だって、お互いの孤独を、安っぽいありがちな言葉で、舐め合いたくなんてなかった。

ただ、だまって、その空間を守っていたかった。



だけど、実際の私は、どうだっただろう?

一生懸命だったといえば聞こえがいいが、さぞ、みっともなかったり、間違えたこともあっただろう。




それも含めて、でも、それでもなんでも、とりあえず10年はやってきたのだ。


そして、最初の願いだけは変わらない。







[PR]
# by otomeya | 2017-10-08 23:11 | 日々の戯れ

約束の10年

約束の10年の日が近づいている。

現実的な日々の業務を、少しずつ進める毎日。

秋の三連休、私はお店で過ごしています。

一歩入って、数秒で出ていく人、
ちょっと覗いて、入らない人、
数年ぶりにお会いして、その距離も感じさせないくらい、話し込んで帰る人。

様々な人のほんのわずかな時間であったとしても、乙女屋というお店が現実にある。

よく考えたら、とてもとても尊いこと。


雑誌に紹介されることもなく、
すごいねと褒めてもらえるわけもなく、
ただただ好きで、ただそれだけのお店。


そんなこんなでもうすぐ10年。
秋の祝日に、ふと、読み返してみたくなったのは、近所のお店の人が、乙女屋の為に書いてくれたBlog記事。

一生の宝物です。

このようなお店づくりを、襟を正して、もう一度。

http://arabiq.jugem.jp/?eid=71








[PR]
# by otomeya | 2017-10-08 22:57 | 日々の戯れ

さて。

e0037611_11132345.jpg
WABARAに恋をして、すっかりうつつを抜かしている日々です。

でも、そろそろ、そんなわけには、いかなくなってきました。


約束の10年が近いからです。


乙女屋が実店舗を構えることになった時、周囲の人たちはみんな心配しました。

私は、販売員を経験することがありませんでした。
当時の私は、基本的に人づきあいが非常に苦手で、常識的な挨拶をすることさえ、いつも不安でいっぱいでした。
そのうえ、乙女屋が扱おうとしている品揃えは、一般的ではありません。

「世の中の人が、みんなあなたみたいじゃないのよ?」

「やってみたらすぐに、そんなに甘いものじゃないってあきらめるだろうよ」

すこし親しい人は、そういうことを言葉で伝えてくれました。



でも、ただ、ひとりだけ、応援してくれた人がいました。


その人は、いいました。


「もし、誰も来なくて、何一つ売れなくても、10年は続けなさい。

その覚悟がないなら、初めから、やらないほうがいい。

何も売れなくても、10年続けたら、その人にしか見えないものが絶対に見える。

それを見るまで、必ず続けることが大切だね」


と。


その10年の約束の日が、今年の11月1日です。

本当にあっという間の日々でした。

何もわからないままに、
ただ、その時に自分が信じたことに、一生懸命に向き合いました。
信じたことを疑って、”常識的”と言われることをやってみたり、
今となったら、間違えていたなと思うことも、たくさんあります。

でも、その都度、私なりに、一生懸命でした。


そして、今、感じることがあります。


それを、ひとつずつ、整理して、行動していく時期に入ります。



「強くなくていい。
偉くなくていい。
大丈夫。
信じていい。」


WABARAと語り合いながら、秋を過ごしています。






[PR]
# by otomeya | 2017-10-06 23:37 | 日々の戯れ

WABARA

e0037611_22543372.jpg
e0037611_22545081.jpg

枯れてゆく曲線に魅せられる。


e0037611_22552065.jpg


e0037611_22554378.jpg

褪せていく色に、心が軋む。


e0037611_22560354.jpg

最後の言葉を、私は、まだ見つけられないでいる。







[PR]
# by otomeya | 2017-10-05 22:53 | 花の記憶